2025年、トランプ前大統領の追加関税によって米国株や日本株が下落し、「世界恐慌の再来か?」という不安の声も上がっています。しかし一方で、JETROの見解などをもとにすると、こうした関税政策が日本にとって中長期的に追い風になる可能性もあるのです。
本ブログ記事では、関税による影響の仕組みや、他国との比較、日本企業が今後取りうる戦略についてわかりやすく解説します。
世界経済を揺るがす「トランプショック」
トランプ前大統領が打ち出した追加関税や相互関税は、世界中の株式市場に大きな影響を与えています。アメリカと中国の関係悪化が引き金となり、グローバル経済の先行きに不安が広がっています。
特に市場では「1929年の世界恐慌の再来になるのではないか」という悲観的な声もあがっており、投資家の心理にも影響が出ています。
関税政策が日本にとって追い風になる理由
一見するとマイナス要素ばかりに思える今回の関税問題ですが、日本にとっては追い風になる可能性があるという見方もあります。
JETRO(日本貿易振興機構)によれば、日本の関税は他のアジア諸国、特にASEANと比べて低いため、「同じ価格」であれば日本製品の方が品質で勝り、「同じ品質」であれば価格で優位に立つことができます。
つまり、価格競争や品質競争のどちらにおいても、日本企業が選ばれやすくなる環境が整いつつあるのです。
日本を経由したアジア製品の輸出ルートも
さらに注目されているのが、アジア諸国から日本を経由してアメリカへ製品を輸出する「迂回輸出」の可能性です。
日本で加工を施すことで、日本製としての付加価値がつき、関税の影響を緩和するルートが形成される可能性があります。
ただしここで課題となるのが「原産地比率」です。どの程度まで日本で加工すれば「日本産」として認められるのか、というルールが存在します。したがって、100%日本製として扱えるかどうかは状況によって変わるため、慎重な対応が求められます。
アメリカ国内の日本企業にも注目
もうひとつのポイントは、アメリカ国内に拠点を持つ、またはこれから建設予定の日本企業の存在です。
現地生産・現地販売という戦略をとることで、関税の影響を回避しつつ、米国内での信頼やブランド価値を高めていく動きが進んでいます。
こうした企業の存在が、日本経済全体にも良い影響を与える可能性があり、長期的にはアメリカと日本の関係をより強固なものにしていくでしょう。
まとめ:中長期的に見ればチャンスも
今回の関税問題は、短期的には株価の下落や市場の混乱を招いていますが、5年〜10年という中長期の視点で見ると、日本にとっては競争優位を築く好機となる可能性も秘めています。
品質に優れた日本製品、柔軟な加工・輸出体制、アメリカ市場での地盤づくりなど、複数の要素が重なることで日本企業の活躍の場は広がっていくでしょう。
これからはアメリカの政策動向を注視しつつ、日本企業の対応力やイノベーションに期待が集まります。焦らず、長期目線で日本経済のポテンシャルを見ていくことが大切です。
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