アメリカと中国の関税戦争が激化しています。アメリカは最大で145%の関税を課し、中国も報復措置として84%の追加関税を実施しました。本記事では、米中の関税措置の流れとその影響、そして中国が強気でいられる理由を解説します。
米中関税戦争が再燃中
2025年、アメリカと中国の間で再び関税をめぐる対立が激しくなっています。アメリカは中国からの輸入品に対して125%の関税を課した後、中国が84%の報復関税を発表。さらにアメリカは20%の追加関税を重ね、合計で145%の関税となりました。
このような関税の応酬は、両国の経済だけでなく、世界経済にも大きな影響を与えかねません。
なぜ中国は強気なのか?
関税戦争において注目されるのは、中国の強気な対応です。中国がここまで強気に出られる背景には、いくつかの理由があります。
- 中国の政治体制です。中国は社会主義体制であり、政権に対する国民の直接的な不満が選挙に反映されることはありません。これにより、一時的に経済に打撃があっても、強気の姿勢を取り続けやすいのです。
- 面子(メンツ)を重んじる文化です。中国にとって「引き下がる」ことは国際的な威信の低下を意味するため、強気で応じる必要があります。
- アメリカ大統領の発言の不安定さです。トランプ大統領は関税に関する発言を頻繁に変えており、中国側は「どうせ長続きしない」と見ている可能性があります。
アメリカ経済への影響も深刻
関税によって打撃を受けるのは中国だけではありません。アメリカ経済にも悪影響が出始めています。
例えば、アメリカから中国への大豆輸出は非常に大きな割合を占めており、そのシェアは61%にもなります。中国がブラジル産に切り替えると、アメリカ農家は深刻な打撃を受けることになります。
また、企業の輸出入コストが上昇することで、アメリカ国内の物価上昇や企業収益の減少が発生し、それにともなって株価の下落が続いているのも事実です。
しかも、注目すべきはPCやスマホの部品の多くを中国に頼っているアメリカ企業は、国内やインドにシフトしようとしても工場を作るところから始めなければならず、結局中国から購入することになると、価格を負担するのはアメリカ企業や消費者になってしまうのです。
派遣争いの側面も見逃せない
この関税戦争は、単なる経済摩擦ではありません。米中の覇権争いという側面もあります。
アメリカは自由主義・資本主義のリーダー、中国は社会主義・国家資本主義のリーダーとして、世界のルールをめぐる主導権を争っています。この構図の中で、どちらかが「負け」を認めることは極めて困難なのです。
まとめ:米中対立の行方と私たちへの影響
米中関税戦争は、今後もしばらく続く可能性があります。ただ、両国ともに一定の「引き際」を模索しているとも言われており、急展開がある可能性もあります。
私たち個人投資家や一般市民としては、グローバル経済の動きに敏感になることが求められます。株価の下落や物価の変動に振り回されないよう、長期的な視点を持つことが大切です。